エンジニアが持っているべき知識は?

機械設計エンジニアが持っているべき知識

機械設計エンジニアとして必要な知識は多岐にわたりますが、設計工程によって必要なスキルと知識はその都度、設計段階において変わります。

たとえば、詳細設計では機械製図、材料、加工の知識と、CADなどの道具を使いこなせる技術が特に必要とされますし、基本設計では、機械系の基礎である4大力学(材料力学、機械力学、流体力学、熱力学)や制御工学などの知識が必要とされます。

担当するものによって必要とされる知識はさらに増え、例えば、筐体設計を担当するならば、板金・金型・射出成形など、駆動設計であれば、動きに関する公差や部品干渉、熱、表面処理、電気の知識と、分野別の知識が必要です。

機械製図

機械製図とは、機械やそれを構成する各部品の構造や形状、寸法などを、設計士の意図に従って正確な図面としてまとめる作業のことを指します。機械製図の作業がおろそかになっていると、製造に必要な情報を次の工程へ伝達できないため、機械製図はものづくりにおいて極めて重要なポイントです。

現在、機械製図は専用のCAD/3D-CADソフトを用いて、コンピューター上で作成されることが一般的です。手書きによる昔ながらの機械製図も可能ですが、図面に不備があればその都度、修正を行わなければならず、CAD/3D-CADであれば以前のデータを参照したり速やかに修正対応したりといったことができます。

機械製図が活かされる場面

機械設計エンジニアにとって、機械製図は何もよりも欠かせない技術の1つです。エンジニアの脳内にどれだけ画期的なアイデアがあったとしても、それを実際に製造工程を担当するエンジニアやチームへ伝達できなければ、それはいつまで経っても机上の空論のままとなります。逆に、優れた機械製図スキルやCADスキルがあれば、優秀な設計士とチームを組んで、機械設計エンジニアとして活躍することも可能です。

また、CAD/3D-CADソフトやシステムは企業によって使用されているものが異なるため、扱えるものの種類が多ければ多いほど有利になります。

材料力学

材料力学は、文字通り素材の種類や特性に関する「材料学」と、物理的な事象を考える「力学」が組み合わされた学問です。例えば、特定の物体(個体)に対して外部から一定の力を加えた際、その内部にどのような抵抗力(応力)が生じるか分析したり、どの程度まで力を加えれば変形・断裂するか計算したりすることが、材料力学の目的となります。

材料力学を理解していなければ、使用する材料の強度を計算することができないため、どれだけ正確な図面があっても、そもそもどんな部材を用いれば良いのか判断することさえできません。

なお、材料力学は構造力学と混同されることもありますが、基本的には、材料力学はそれぞれの部材に対する応力や変形について計算・分析する学問であり、構造力学はそれらの部材を組み合わせたものに対する力の影響を計算・分析する学問です。

材料力学が活かされる場面

機械設計エンジニアにとって、材料力学は理想的な部材を選定する上で必要不可欠です。

例えば、製品の軽量化を目指して新しい構造を設計したとしても、単に軽い金属を選んで強度が不足してしまえば、製品として欠陥が残ります。あるいは、剛性ばかりを優先して材料を選べば、重たく加工の難しい素材しか見つけられないかも知れません。

機械力学

機械力学とは、組み立てた機械が作動することで生じる力を考える学問です。機械力学では、ひとまず機械を構成する材料の強度や特性については考えず、あくまでも機械動作と力の関係のみを考えます。そのため、機械力学で使われる仮想部材は全て、すでに充分な剛性を持つことが前提となることもポイントです。

機械を動かすと、回転運動や往復運動によって振動が発生し、それに応じて3次元的な力が生じます。そして機械の構造が複雑になればなるほど、その力の方向や強さなどを計算することも難しくなります。

機械力学によって、目的とする機械を使用する際に部材へかかる力を精密に計算できれば、そのデータをベースにして材料力学により部材の選定を行うことができます。

機械力学が活かされる場面

どれだけ材料力学に詳しくても、そもそも組み立てられた機械を動かすことで、どの部分へ、どのような負荷が生じるか分かっていなければ、部材選定に必要な数値を得ることができません。また、すでに使用する部材が決定しているのであれば、それに適した仕組みを考える上でも機械力学は不可欠です。

機械力学は、機械設計エンジニアが考えたアイデアを、実際の機械として役立てるための基礎といえます。

流体力学

流体力学は、機械工学における最重要ポイントの1つとされています。流体力学が対象とする「流体」とは、気体や液体といった、その形状が自由に変形するものです。つまり空気や水、オイルやガスなども全て「流体」であり、仮に最初から最後まで真空での使用を前提とされている機械であったとしても、内部に潤滑技術や油圧機構などが使われているとすれば、流体力学と無縁ではいられません。

流体力学が活かされる場面

例えば水力発電や風力発電は、流体の力によって発電装置を作動させて電力を生み出す機械ともいえます。また、車両や航空機の設計では風の抵抗や流れを考えなければならず、船舶関連であれば水の流れを計算しなければなりません。さらに、リニアモーターカーや高速鉄道での騒音防止対策にも流体力学は用いられています。

機械設計エンジニアが目的とする機械や製品によっては、設計時に流体力学を必要としないケースも考えられます。ですが、より高度なエンジニアとしてスキルアップを目指す上で、流体力学を学ぶことは大切です。

熱力学

熱力学とは、熱(温度)とエネルギーの関係について考える学問です。例えば、火力発電や蒸気機関車では、燃料を燃やして水を温めて蒸気を発生させ、その蒸気の膨張力(圧力)によって発電機や駆動機関を動かします。つまり、燃料が内部に蓄えているエネルギーを「熱」に変換して、その熱によって液体を気体へ変換し、さらに気体の力で電気や運動を発生させるというシステムです。

重要なポイントは、熱そのものが何らかの仕事をするのでなく、熱がエネルギーの変換と伝達に関与するということです。

また、気体が持つ力とは気体分子の運動の激しさともいえ、それは温度に比例します。そのため、熱エネルギーの大きさは「熱力学温度(ケルビン:K)」という単位で表すことができ、さらに物体の持つ熱エネルギーの総量は「熱量(ジュール:J)」として表されます。

熱力学が活かされる場面

例えばガソリンエンジンは、内部でガソリンを燃焼させて急激に膨張させ、その圧力でピストンやクランクを動かすという機構です。そのため、ガソリン燃焼によるエネルギー発生効率とエンジンの運動性能を考えるような場合、熱力学への理解が必要です。

熱力学は目に見えないものを計算するため難しいと思われがちですが、機械設計エンジニアとしての幅を広げていく上で、大切な「4力」の1つとされています。

自分が進みたい方向性と知識の関係を掴む

ものづくりは、一般的に上流工程と下流工程に分けられます。製品の開発や製作を行うのが下流工程、製品の仕様の決定から、製品のおおよその設計までを上流工程、と呼びます。

職場でいうと、大手ゼネコン、重工業、電機メーカー、製作所、機械設計事務所などで下流・上流の工程がわけられていると考えると良いでしょう。下流工程は主にメーカーの元請や下請け会社が行い、特に設計・製図の知識やCAD操作の能力が必要とされます。

一方の上流工程ですが、こちらは一般的にメーカーが行う工程にあたり、4大力学の知識はもちろんですが、メカトロニクス、制御工学など広範囲な知識も活用することになります。しかし、上流工程の場合は関連部門との折衝が多いことから、コミュニケーション能力が最も大事ともいわれています。

あなたに合うエンジニアの形は?

一言で機械設計エンジニアと言っても、メーカーか中小企業の下請けか、あなたの所属や業界によっても仕事の内容は変わります。エンジニアは職場環境に左右されるうえ、現場によって必要とされるスキルと知識も変わります。

あなたがエンジニアとしてどのような業界でどんな工程の仕事をし、どんな環境で働きたいのか、自分に合う働き方を見つめてみませんか。このサイトではエンジニアの理想の働き方についての考え方をまとめていますので、参考にしてみてください。

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